鉄道輸送の削減をDBが化学業界に要請

鉄道を用いた貨物輸送を削減するようドイツ鉄道(DB)が化学業界に要請している。独化学工業会(VCI)のクリスティアン・クルマン会長(エボニック社長)が6日の記者会見で明らかにした。DBの貨物輸送子会社DBカーゴから数日前、鉄道網の渋滞を避けるため、鉄道貨物の20%をトラック輸送に切り替えるようアドバイスを受けたという。

ドイツの鉄道インフラは老朽化していることから、DBは全国各地で路線などの工事を行っている。いつどの区間で工事を行うかを主要な顧客産業のニーズを踏まえずに決めたことから、鉄道貨物輸送は現在、著しく混乱。何時間も立ち往生した運転手が列車を路線上に放置するケースも出ている。ハンブルク港などでコンテナの積み替えが滞る原因の1つだ。

DBが要請するトラック輸送は現在、厳しい状況にある。多くの州で夏季休暇が始まり、高速道路は渋滞が発生しやすいためだ。トラック運転手が慢性的に不足しているうえ、ウクライナ戦争の勃発でその傾向に拍車がかかっているという事情もある。

クルマン会長はDBがこれまで鉄道貨物輸送の利用拡大を求めてきたことを指摘。同社には鉄道輸送の機能を保つ義務があると批判した。

化学製品の国内輸送量は年7,000万トンに上る。輸送手段別のシェアはトラックが37%で最も多い。2位はパイプラインで25%弱。鉄道は16%で3位に付けている。

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