フラウンホーファー・システム・イノベーション研究所(ISI)は15日、欧州における電池セルの生産能力が2030年までに1.3~1.5テラワット時(TWh)に拡大するとの予測を発表した。このうち、ドイツにおける生産能力は約400ギガワット時(GWh)と、全体の約4分の1を占めると予測している。フラウンホーファーISIは、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)が資金支援する付随プログラム「BEMA 2020 II」の一環として、定期的に欧州における電池セルの生産能力を予測している。
欧州で電池セル工場を立ち上げる動きが活発化しているのは、既存のアジアメーカーが生産を強化していることと、欧州のスタートアップ企業などが電池セルの生産に大型投資を計画・実施していることが背景にある。
フラウンホーファーISIは、様々なプレーヤーの発表を分析し、これに基づいて欧州における電池セルの生産能力を予測している。
欧州で事業展開する電池セルメーカーの発表によると、2022年における欧州の電池セルの生産能力は最大124GWhに拡大する見通し。2025年までには4倍に増えて、500GWhを超えると予想している。さらに2030年までには10倍の最大1.5TWhに拡大すると予測している。これは、世界全体の生産能力の約4分の1に相当する。欧州の少なくとも15カ国に電池セル工場が整備され、うち、ドイツは約400GWhと全体の4分の1を占めると予測している。
フラウンホーファーISI によると、40以上の企業が欧州に電池工場を設ける計画を発表している。欧州メーカーによる電池セルの生産能力拡大は主に、ノースボルト、フォルクスワーゲン(VW)、オートモティブ・セル・カンパニー(ACC)によるもので、欧州メーカー以外では、中国のCATL、韓国のLGESおよびサムスンSDI、米テスラが電池セル工場を計画している。