仏ユーテルサット、英ワンウェブと統合協議

欧州衛星通信大手の仏ユーテルサットは7月25日、英同業ワンウェブと統合に向けた協議を行っていることを明らかにした。両社の強みを持ち寄り、多数の小型人工衛星が協調して一体となって様々な機能を担う衛星コンステレーション分野で米スペースXなどに対抗するのが狙い。ただ、両社には多くの国が株主として関与しており、統合が実現するかどうか予断を許さない状況だ。

ユーテルサットはワンウェブに23%を出資している。統合で誕生する新会社に均等出資する方向で協議を進めている。

ワンウェブは2012年創業。多くの衛星を活用し、地球上のどこでも高速インターネットを利用できるサービスを提供する企業だが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う金融市場の混乱などで資金調達が困難になり、2020年に経営破綻した。その際に、英政府などが出資し、救済した経緯がある。英政府の持ち株比率は約18%。

一方、ユーテルサットはフランス政府が19.9%を出資し、筆頭株主となっている。中国政府系ファンドも大株主だ。

戦略的に重要な衛星通信分野での統合だけに、関係各国の思惑が交差し、条件などを巡る協議の難航が予想される。英、仏政府は、ともに新会社の大きな権益を引き続き保有し、取締役を派遣することを目指しているという。

上部へスクロール