●戦争の長期化と対ロ制裁の拡大で経済成長が鈍化=中銀
●小幅の利上げに留め、景気のテコ入れを図る
ルーマニア中央銀行は5日、政策金利を4.75%から0.75ポイント引き上げて5.5%に設定した。利上げは8会合連続。市場は1ポイントの上げ幅を予想していた。ウクライナ戦争が物価を押し上げる中、景気のテコ入れを図るため小幅の利上げに留めた。貸出金利と預金金利は、それぞれ6.5%、4.5%となり、政策金利と同様0.75ポイント上昇した。
同国のインフレ率は6月に15.05%まで上昇した。インフレ率の上昇は7カ月連続で、ロシアのウクライナ軍事侵攻が始まった2月からの上げ幅の合計は6.52ポイントに達する。戦争と、それに伴う対ロ制裁がエネルギー価格を押し上げていることが大きい。今後について中銀は、7-9月期(第3四半期)はほぼ横ばいとなるものの、10-12月期から3四半期に渡り緩やかに低下し、その後は急速に下がるとの見方を示した。年間インフレ率は今年が12.5%、来年は6.7%と予想する。
中銀は声明で、戦争の長期化と対ロ制裁の拡大を受けて経済成長が鈍化していると指摘。中期的なインフレ見通しの不確実性が高まっているとしたうえで、預金金利を引き上げて貯蓄を促すことでインフレ率を年2.5%の目標値に戻すと説明した。
中銀のムグル・イサレスク総裁は先月、インフレ減速の兆しが見えたなら利上げのペースを落とす方針を示していた。現時点では10月と11月の政策会議でそれぞれ0.5ポイント、0.25ポイントの利上げを予定している。