ドイツ政府は1日、浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備(FSRU)を米エクセラレート・エナジーからチャーターすることで合意したと発表した。政府はすでにFSRU4隻のチャーター契約を結んでおり、今回の合意で5隻に拡大する。民間のコンソーシアムがチャーター予定の1隻を加えると、ドイツのLNG(液化天然ガス)受け入れ能力は2024年初頭までに、国内需要(21年905億立方メートル)の3分の1に当たる約300億立方メートルに達する見通しだ。ロベルト・ハーベック経済相は「ロシアからの(ガス)輸入という軛(くびき)から我が国を開放するためのあらゆる取り組みがかつてないほど重要になっている」と述べた。
エクセラレートからFSRUを5年間チャーターし、ヴィルヘルムスハーフェン港に投入する。処理能力は年50億立方メートル以上で、23年第4四半期から操業を開始する。運営はエネルギー企業スリー・エナジー・ソリューションズ(TES)、エーオン、エンジーの3社からなるコンソーシアムが引き受ける。
TESはこれと並行して、ヴィルヘルムスハーフェン港にグリーン水素の受け入れ基地を建設する。25年から稼働する見通し。同基地の操業開始に合わせ、エクセラレートからチャーターするFSRUの同港で運営を停止する。ドイツはカナダ産グリーン水素の輸入を25年に開始する予定のため、TESはこれを踏まえて同基地を建設するもようだ。
政府がこれまでに手配したFSRU4隻はヴィルヘルムスハーフェン、ブルンスビュッテル、シュターデ、ルプミンの4港に投入されることが決まっている。今回の成約により、ヴィルヘルムスハーフェン港には2隻が配置されることになる。