欧州連合(EU)加盟国は9月30日、臨時エネルギー相理事会を開き、エネルギー価格高騰対策として、加盟国にピーク時の節電を義務付けるほか、価格高騰の恩恵を受けているエネルギー企業の利益に上限を設けて超過分を徴収したり、化石燃料を扱う事業者に利益の一部還元を求めることなどで合意した。必要な手続きを経て、12月1日から来年3月31日までの時限措置として実施する。
節電に関しては、ピーク時の電力消費量を少なくとも5%削減することを加盟国に義務付け、全体として10%の削減を目指す。欧州委は5%の削減義務を課すことで、冬場の4カ月に天然ガスの消費量を約12億立方メートル(ガス需要の4%に相当)減らすことができるとみている。
一方、風力や太陽光、原子力など、天然ガスより低コストで発電する事業者の利益に1メガワット時当たり180ユーロの上限を設定し、加盟国が超過分を徴収する。EUでは電力料金が実質的にガス価格と連動しているため、天然ガス価格の高騰によって電力料金が記録的な高水準で推移している。このためガス以外で発電する事業者は、発電コストが比較的低く抑えられているにもかかわらず、電力料金の高騰で大きな利益を得ていることが背景にある。
また、石油やガス、石炭など化石燃料を扱う事業者を対象に、過去3年間の利益の平均と比較して20%を超える増加分について、少なくとも33%を「連帯負担金」として徴収する。欧州委の試算によると、発電事業者と化石燃料事業者からの徴収額はそれぞれ最大1,170億ユーロ、250億ユーロに上り、家計や企業への支援のほか、再生可能エネルギーへの投資などに充てられる。