●招集猶予にもかかわらず出国の動きは止まらず
●IT専門家ですでに出国または計画している人は30%以上
先月21日の予備役動員令を機に、ロシアのIT業界従事者が召集を恐れて大量に出国している。IT専門家の召集猶予措置が発表されているにもかかわらず、その動きが止まらないため、業界の危機感は高まるばかりだ。
ロシアは、2月のウクライナ侵攻開始後にも、数週間でIT専門家7万人が国外へ脱出したと報じられた。さらなる頭脳流出を防ぐため、今回の動員令ではこれらの人材の召集が猶予された。それでもIT産業連盟は、21日の発令後の出国者数が合計で15~20万人ほどに達する可能性があるとみている。ソフト開発会社、ルスソフトの社長も同様な見方だ。
デジタル省は26日、IT・通信・コミュニケーション業界の195の職種に就いている人を召集対象から除外する措置およびそのガイドラインを発表した。しかし、IT業界関係者によると、◇IT業界に就業する者すべてが除外されるわけではない◇ガイドラインが不明確◇年齢制限さえ無視される例がある――など、不安がぬぐえない状況だ。
ロシアのテクノロジー業界は、欧米インターネット企業のロシア進出を追い風に成長を図ったが、ウクライナ戦争でこれらの企業は撤退し、さらにノウハウを持った人材も失う結果となっている。人材派遣会社のヴェントゥラが21日発表した調査によると、IT経営者で従業員を国外へ配置転換した人は19%に上ったとみられる。また、IT専門家でロシアを出国した人、あるいは出国を計画している人は30%以上に上った。
ロシアIT業界従事者数は昨年170万人に上った。しかし、与党・統一ロシアのあるベテラン議員はすでに4月の段階で、業界が人手不足に陥いると警告していた。