トランスネットBW―世界最大の電力需給調整用電池を設置へ―

電力の需要と供給のバランスを保つための蓄電池を西南ドイツの送電網事業者トランスネットBWが設置する。出力は250メガワット(MW)で世界最大。再生可能エネルギー発電の増加に伴い複雑化している需給調整を簡単かつ低コストで行えるようにする狙いだ。

同社は「グリッド・ブースター」という名のプロジェクトを実施する。シュツットガルトの北東およそ80キロのクップファーツェルにサッカー場数個分の敷地を確保し、米フルエンス・エナジー製の蓄電池を設置。2025年に完成させ、運営を開始する。広報担当者はコストが約2億ユーロに上る見通しを明らかにした。電力の供給不足が発生すれば瞬時に給電を開始する。送電網には最大1時間、電力を送ることができる。

風力発電や太陽光発電は発電量が天候に大きく左右される。このため再生エネが増えれば増えるほど、電力の需給調整は難しくなり、停電が起こりやすくなる。そうした事態を避けるため、現在は起動時間が短い天然ガス火力発電を活用しているが、そのコストはドイツ全体で年23億ユーロ(21年)と大きい。トランスネットBWは巨大蓄電池を利用することで、送電網の運営コストを引き下げるとともに、稼働率を引き上げる考えだ。

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