自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)グループは13日、人工知能(AI)チップの中国スタートアップ企業、地平線機器人(ホライズン・ロボティクス)と合弁会社を設立する計画を明らかにした。高度運転支援システム(ADAS)と自動運転(AD)用のAIチップを共同開発。中国の規格と顧客ニーズに見合った車両を迅速に市場投入できるようにする。
VWは地平線機器人との協業に合わせて約24億ユーロを投じる。投資の内訳は明らかにされていないが、メディア報道によると合弁会社に最大14億ユーロを投資。残りを地平線機器人への出資に充てる。合弁への出資比率は60%となる。取引は現地当局の審査を経て来年上半期に成立する見通し。
中国では当局の規制で独自のソフトウエア・アーキテクチャーが必要なことから、現地市場向けのAIチップを地平線機器人と共同開発。コストを削減する。同チップは欧州や米国市場に投入AIチップとは異なるものとなる。
VWは車両の通信端末化に伴い中国の顧客が求めるニーズを見誤ってきた。例えば、カラオケ機能を不要と考えていたが、消費者目線を知る現地メーカーの上海蔚来汽車(NIO)や比亜迪(BYD)のモデルには搭載されている。VWは地平線機器人と手を組むことで消費者ニーズにきめ細かく対応できるようにする考えだ。
『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、今回の投資に当たって同社はこれまでのところ、ドイツ政府に貿易保険を申請していないという。所轄大臣のロベルト・ハーベック経済相(緑の党)が中国の人権問題などに厳しい目を向け、貿易保険の適用を厳格化していることが背景にあるもようだ。