●国際取引の合理化や、銀行口座を持たない人に決済手段を提供する
●「政府が個人の支出を把握できるようになる」と警鐘も
トルコが来年にも中央銀行デジタル通貨(CBDC)を導入する計画だ。先週発表された2023年度大統領府年次計画によると、デジタル身分証明(ID)システムおよび中銀の運営する決済システム「FAST」と統合する方向で、政府による管理強化を懸念する声も出ている。
年次計画によると、◇中銀、財務省、科学技術研究会議(TUBITAK)がCBDCの立ち上げを担当◇CBDCによる決済テストを実施◇研究開発の枠内で、CBDCをデジタルIDおよび決済システム「FAST」との統合を試みる◇商業銀行の参加を得て、金融機関に利用を限定するホールセール型CBDCのテストを実施――が実行に移される。
CBDC導入の狙いとしては、国際取引の合理化や、銀行口座を持たない人(人口の約40%)に新しい決済手段を提供することなどがあげられる。ただ、インフレ高進で800万人がステーブルコイン(価値の安定した仮想通貨)に投資したと言われるなか、「デジタルリラ」の利用がどれほど広まるかは不透明だ。
一方、デジタルIDシステムおよび「FAST」と統合されれば、「技術的には、政府が個人の支出を把握できるようになる」と警鐘を鳴らす記者もある。極端な場合、一人一人の支出上限を定め、リミットに達したら決済不能にすることも可能だからだ。