欧州自動車大手ステランティスは10月31日、中国国有自動車大手の広州汽車集団と折半出資する合弁会社が破産申請すると発表した。合弁会社は数年前から販売不振で業績が悪化しており、ステランティスは7月に合弁事業からの撤退を発表していた。
ステランティスはフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とグループPSAが統合して2021年1月に誕生した世界4位の自動車グループ。中国の合弁会社は2010年にFCAと広州汽車が設立したもので、「ジープ」ブランドを生産・販売してきた。
合弁会社は競争力の低下などでここ数年は販売の落ち込みが激しく、21年の販売台数は2万396台と、前年比で半減していた。さらに22年1~9月は前年同期比87%減の1,861台にとどまっている。
広州汽車によると、合弁会社の負債総額は9月30日時点で約81億元(約1,622億円)に上り、資産総額(約73億元)に対する負債比率は110%となっている。
ステランティスは今年1月、中国で外資規制が緩和されたことを受け、不振が続く中国事業の再建に向けて合弁会社に対する出資比率を50%から75%に引き上げると発表した。しかし、広州汽車は一方的な発表だとして強く反発。出資引き上げに向けた交渉は難航し、ステランティスは7月に合弁事業からの撤退を発表した。なお、同社は22年1~6月期決算で、合弁解消に伴う2億9,700万ユーロの減損処理を完了したと説明している。