●バッテリーの賃貸を可能にし、車両価格を下げることを狙う
●現在、イベコ「eデイリー」をバッテリー交換に対応させている
運送マッチングプラットフォームを運営するポーランドのスナルトが自動車工業研究所(PIMOT)と提携し、電動バンのバッテリー交換システムを開発している。電動車の価格の半分を占めるバッテリーを賃貸できるようにすることで購入のハードルを下げるとともに、充電待ちの時間を省けるようにする狙い。
スナルトはシステムの開発を担っている。電動車普及のネックの一つは充電時間だが、スナルトのアドリアン・ミロフスキ最高経営責任者(CEO)によれば、交換式にすると数分で済み、給油と変わらなくなる。また、定電流充電ができるためバッテリーの寿命も伸びるという。
現在、具体的にイベコ「eデイリー」をバッテリー交換に対応させているところだ。まずは、フレームにレールをつけてバッテリーを収納できるようにした。国内企業に製造を委託した特注バッテリーパックの重さは80キロ。3個積むことになるが、システム全体の重量は約500キロで、「商用車にとってはそれほど重くない(ミロフスキCEO)」という。
バッテリー交換作業は通常、専用ステーションでロボットが自動的に行う。ただ、道路で立ち往生した場合を考えて、バッテリーパックのうちの1つは緊急用に手で交換できるようになっている。バッテリーの「緊急配送交換サービス」を受けて、次のステーションまで走れるというわけだ。
最初のテストは来年下半期に予定される。その後、「eデイリー」の製造元であるステランティスとの間で、システムライセンスや導入に向けて交渉する。
顧客側は、「eデイリー」の購入時にバッテリー交換仕様車を選ぶことができる。その際にバッテリー賃貸サービスを一緒に注文することになる。