ドイツ連邦統計局が21日発表した10月の生産者物価指数は前月を4.2%下回った。同物価の低下は2020年5月以来で2年5カ月ぶり。エネルギー価格が10.4%下がり、全体が強く押し下げられた。生産者物価の動向は最下流の消費者物価を先取りすることから、市場にはインフレ率の上昇が近く、ピークに達する可能性があるとの見方が出てきた。州立銀行LBBWのエコノミストはロイター通信に、「景気(低迷)に起因する価格圧力の若干の低下の最初の兆候かもしれない」と述べた。
電力と天然ガスの価格が前月比で大きく低下した。下落幅はそれぞれ16.9%、9.0%に上る。ともに大口需要家向けの価格が全体を押し下げた。石油製品は2.6%上昇している。エネルギーを除いた生産者物価の変動率はプラス0.4%だった。
前年同月比では生産者物価指数が34.5%増となり、これまでに引き続き大きく上昇した。ただ、上げ幅は過去最高となった8月・9月(ともに45.8%)に比べると10ポイント以上縮小している。
エネルギーの上昇率は85.6%となり、前月の同132.2%を大幅に下回った。天然ガスは125.6%(前月192.4%)で、産業向けは151.2(264.8%)、再販事業者向けは117.7%(199.9%)、発電所向けは110.2%(233.1%)だった。
電力は90.3%(158.3%)で、再販事業者向けは137.7%(259.8%)、特別契約顧客向けは80.1%(148.9%)となっている。
石油製品は34.6%で、前月(42.9%)を下回った。灯油は76.2%(84.4%)、自動車燃料は30.8%(38.6%)。エネルギーを除いた物価上昇率は13.7%で、前月に比べ0.3ポイント低い。
中間財は15.9%増と大きく上昇したものの、上げ幅はこれまでに引き続き縮小した。ピーク時の4月は26.0%に上っていた。
中間財価格全体に最も強い影響をもたらしたのは金属で、15.7%(18.1%)を記録。銑鉄・鉄鋼・鉄合金は21.0%(19.8%)だった。金属以外では肥料・窒素化合物で113.1%(113.5%)、穀物粉で40.7%(44.3%)と高水準を記録した。肥料の原料となるアンモニアは182.3%(208.7%)に上った。
投資財の上昇率は前月と同じ7.8%だった。全体を最も強く押し上げたのは機械で9.5%(9.1%)を記録。押し上げ効果が二番目に大きかった自動車・自動車部品は5.6%(6.3%)に上った。上げ幅はタービンで20.0%、送風機で17.9%と特に大きかった。
耐久消費財は11.3%となり、前月を0.4ポイント上回った。押し上げ効果が大きい家具は13.4%(13.6%)に上った。
非耐久消費財の上げ幅は前月の18.3%から19.0%に拡大した。食料品は25.1%(24.2%)で、バターは66.3%(72.2%)、豚肉は47.0%(46.3%)、チーズ・クワァルクは38.3%(39.7%)、牛乳は36.1%(37.5%)、コーヒーは29.1%(32.0%)だった。