トルコ中央銀行は24日の金融政策決定会合で、主要政策金利である7日物レポ金利
を1.5ポイント引き下げ、9%に設定した。利下げは4会合連続で、市場の予想通
り。金利がエルドアン大統領の求める1桁台まで下がったことを受け、中銀は今回
で利下げサイクルを停止する意向を表明した。
同国のインフレ率は10月に85.51%となり、1998年6月(90.6%)以来の高水準を記
録した。インフレ率の上昇は17カ月連続。通貨リラ安が食料やエネルギーなど輸入
品価格の高騰を招いている。
インフレ高進の背景について中銀は、地政学的な緊張の増大に伴うエネルギーコス
トの上昇や、金融政策の埒外にある供給側の要因、経済の基礎的な条件を反映して
いない価格設定の影響などによるものだとする従来の見解を繰り返した。リラは年
初以来、対米ドルで約28%下落している。
中銀は声明で、不確実性や地政学的リスクが高まる中、成長の勢いと良好な雇用環
境を維持するため「支援的な」金融政策が必要と判断し、1.5ポイントの追加利下
げを決めたと説明。金利は世界的な需要の落ち込みに対処するうえで適切な水準に
なったとの見解を示した。
■来年の総選挙をにらみ、利下げ圧力が強まる可能性も
極度のインフレにもかかわらず中銀が金融緩和を続けてきた背景には、来年6月に
行われる大統領と議会の同時選挙をにらみ、エルドアン大統領が選挙に勝つために
景気浮揚を優先してきたという事情がある。「金利の敵」を自任し、金融政策への
介入をためらわない同大統領はかねてより、政策金利を年内に1桁台まで下げるよ
う繰り返し要求してきた。キャピタル・エコノミクスのエコノミストは、利下げサ
イクルを停止するという中銀の言葉を信じるとしたうえで、「選挙が近づくにつれ
て、大統領が中銀に対し利下げを迫る圧力は強まるだろう」と述べた。