EUの毛皮輸入額が10年で62%減、動物愛護団体は取引禁止要求

オーストリアの首都ウィーンに本部を置く動物愛護団体フォーポーズ(FOUR PAWS)は25日、EUにおける毛皮製品の輸入額が過去10年間で60%以上減少したことを明らかにした。若年層を中心に動物福祉や環境問題への関心が高まっており、消費者の価値観の変化を受けてファッション業界では毛皮の使用を停止する動きが広がっている。フォーポーズは「野蛮で時代遅れ」の毛皮産業は急速に衰退していると指摘し、欧州委員会に対しEU域内での毛皮取引を全面的に禁止するよう求めている。

フォーポーズが引用した国連商品貿易統計データベースによると、EUにおける2021年の毛皮製品の輸入額は1億3,830万ドルと、11年の3億6,360万ドルから62%減少した。フォーポーズで娯楽および繊維産業における動物福祉を担当するトマス・ピーチュ氏は「毛皮産業は終焉が近づいている。現代社会で動物虐待の産物である毛皮産業の居場所はない。欧州委員会は毛皮取引の全面禁止に向けて行動する必要がある」と訴えた。

ファッション業界ではこれまでにプラダ、ケリング、モンクレール、ヴァレンティノ、ヴェルサーチなど、多くの高級ブランドが毛皮の使用を停止している。また、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンと傘下のフェンディは今年4月、英インペリアル・カレッジ・ロンドン、ロンドン芸術大学のセントラル・セント・マーチンズと提携し、毛皮の代替素材となるバイオ繊維を共同開発する計画を発表している。

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