独流通大手メトロはロシア市場にとどまる意向だ。ロシアのウクライナ進攻を受け大手企業の多くが同国事業の停止・縮小に追い込まれたが、主要市場となっている同国から撤退すれば大きな痛手を受ける。シュテッフェン・グロイベル社長は15日の決算発表で、「わが社にとって大きく利益の出ている事業だ」と指摘。撤退は同国事業の所有権喪失につながると理解を求めた。
ロシアでは計93店舗を展開している。これは本国ドイツに匹敵する規模で、現地売上高(29億ユーロ)は同社全体の10%に上る。営業利益(EBITDA、調整済み)でも全体の6分の1を占める。ウクライナの従業員などから批判を受けているものの、ロシアに踏みとどまらざるを得ない状況だ。
2022年9月通期の純損益は3億3,400万ユーロの赤字となり、赤字幅は前期の5,600万ユーロから大幅に膨らんだ。ロシアのウクライナ進攻に伴う評価損やベルギー事業の売却損が響いた。本業は好調で、営業利益は18.7%増の13億8,900万ユーロに拡大。売上高は為替の影響を除いたベースで20.1%増え297億5,400万ユーロとなった。コロナ規制の緩和に伴う需要増とインフレで水準が押し上げられた。
23年9月期は営業利益が7,500万~2億2,500万ユーロ縮小すると予想している。インフレでコストが膨らんでいることのほか、10月にサイバー攻撃を受けレジシステムなどが被害を受けたことが響く。売上高は5~10%増を見込む。