欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2023/1/11

総合 - ドイツ経済ニュース

水素特許を日欧が主導、EUは製造と貯蔵・輸送・変換でシェア1位に

この記事の要約

水素分野の特許出願を欧州連合(EU)と日本が主導していることが、欧州特許庁(EPO)と国際エネルギー機関(IEA)が10日に公表した共同レポートで明らかになった。炭素中立の実現には再生可能エネルギー電力だけでなく、環境に […]

水素分野の特許出願を欧州連合(EU)と日本が主導していることが、欧州特許庁(EPO)と国際エネルギー機関(IEA)が10日に公表した共同レポートで明らかになった。炭素中立の実現には再生可能エネルギー電力だけでなく、環境に優しい方法で製造される水素の投入も必要不可欠なことが背景にある。韓国、中国、英国、スイス、カナダも規模はやや小さいものの存在感を高めている。米国は主要国のなかで唯一、地盤沈下した。

EPOとIEAは2011~20年の10年間に出願された水素の国際特許ファミリー(IPF)を分析した。水素の「製造」「貯蔵・輸送・変換」「最終用途」の3分野を対象とした包括的なもので、この種のものでは世界初としている。

特許のシェアが最も多い国・地域はEUで、28%に上った。これに日本が24%で続く。3位は米国(20%)で、トップ3で全体の72%を占めている。EU加盟国ではドイツの11%が最大で、これにフランスが6%、オランダが3%で続いた。

製造分野ではEUが28%と最も多く、2位の日本は20%、3位の米国は19%だった。

貯蔵・輸送・変換でもEUが33%で最大だった。これに米国が23%、日本が22%で続く。

最終用途では日本が28%で首位に立った。燃料電池の開発が活発な自動車の領域で圧倒的な強さを見せていることが大きい。2位は僅差でEU(27%)が続き、3位は米国(19%)だった。

水素全体の出願を業界別でみると、化学と自動車で多い。化学は化石燃料を用いた従来型技術で長年のノウハウを持っていることが強みで、仏エア・リキードと独リンデは製造分野をリード。貯蔵・輸送・変換分野でも存在感を示している。

一方、最終用途ではトヨタがダントツで多く、530件に達した。これに現代自動車が391件、ホンダが200件、起亜自動車が171件で続いており、上位を自動車メーカーが独占している。

自動車業界が最終用途で強いのは、燃料電池の特許を数多く出願しているためだ。燃料電池分野で同業界が出願した特許は11年の64件から20年には234件に拡大した。航空機、造船業界でも同分野の出願は増えているものの、20年時点の件数はそれぞれ71件、19件にとどまった。

自動車分野における最終用途を国別でみると、日本はシェアが39%に達し、ダントツの1位となった。2位のEUは22%で、ドイツは13%にとどまる。

グリーン水素生産のカギを握る電解セクターでも日本は28%で首位に立った。2位はEUで24%(独10%)、3位は米国で13%となっている。

総合 - ドイツ経済ニュース
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |