バイオ医薬品大手の独ビオンテックは6日、英国政府と伝令RNA(mRNA)を用いたがん免疫療法などの分野で協業することで基本合意した。新薬の開発を加速し、患者が速やかにメリットを享受できるようにする狙い。ビオンテックのウール・シャヒン最高経営責任者(CEO)は、すべての当事者・機関がシームレスに協業すれば医薬品開発を大幅に加速できることがコロナ禍で明らかなったと強調。「同じことをがん患者向けにも行いたい」と狙いを語った。
ケンブリッジにある研究開発センターに投資し、同センターを中心に臨床試験を展開する。まずは投与する医薬品の種類、臨床試験を実施する施設を選定するとともに、開発計画を策定。今年下半期にも臨床試験を開始する。治験ないし承認された治療法の枠組みで2030年までに英国の最大1万人のがん患者にオーダーメイドの治療を提供する。英政府とは感染症ワクチンの開発でも協業する。
同社は英国でのプレゼンスも強化する意向で、ロンドンに現地事業の統括拠点を開設する。