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2023/1/18

総合 - ドイツ経済ニュース

22年GDP1.9%拡大、コロナ禍前の水準を凌駕

この記事の要約

ドイツ連邦統計局が13日発表した2022年の国内総生産(GDP)は物価調整後の実質で前年を1.9%上回った。上げ幅は前年の2.6%を下回ったものの、ルト・ブラント局長はロシアのウクライナ侵攻、エネルギー価格の高騰、高イン […]

ドイツ連邦統計局が13日発表した2022年の国内総生産(GDP)は物価調整後の実質で前年を1.9%上回った。上げ幅は前年の2.6%を下回ったものの、ルト・ブラント局長はロシアのウクライナ侵攻、エネルギー価格の高騰、高インフレ、サプライチェーンのひっ迫、専門人材不足など難しい状況下で堅調を保ったとの見方を示した。11~21年の平均成長率1.0%を大きく上回っている。GDPは19年実績に比べても0.7%高い水準にあり、コロナ禍に伴う落ち込みは完全に相殺された格好だ。

GDPを強く押し上げたのは個人消費(民間最終消費支出)で、前年を4.6%上回った。新型コロナウイルスの感染防止規制が大幅に緩和された効果で、これまで抑制されていた旅行や飲食店の利用が急回復したことが大きい。

政府最終消費支出は1.1%増となり、上昇率は前年(3.8%)に比べ鈍化した。コロナ対策費が減少したことが背景にある。ただ、ウクライナ難民が大量に流入したことから、同支出は差し引きで拡大した。

建設投資は1.6%減少した。建材不足と価格高騰、金利の上昇、人材不足が響いた格好だ。設備投資は2.5%増となり、2年連続で拡大した。

輸出は3.2%増加したものの、伸び率は前月の9.7%から縮小。輸入も9.0%から6.7%に鈍化した。輸出成長率が輸入を下回ったことから、外需(輸出-輸入)はGDP成長率を1.3ポイント押し下げた。Ifo経済研究所のティモ・ヴォルマースホイザー景気調査主任は、輸入物価が大幅に上昇したことから、昨年は実質国民所得が約1,100億ユーロ失われたと試算している。

粗付加価値は1.8%増加した。コロナ規制緩和の効果で娯楽など「その他のサービス」が6.3%増と大きく拡大。流通・運輸・飲食・宿泊も4.0%増えた。数値は提示されていないものの、流通は前年を割り込んでいる。製造はエネルギーコストの上昇と原材料・部品不足が響き0.2%減少。建設も2.3%縮小した。

地方と社会保険を含めたドイツ全体の財政収支は1,016億ユーロの赤字となった。赤字は3年連続。コロナ禍対策費が減ったものの、エネルギー危機対策費がかさんだことから、これまでに引き続き高水準に達した。財政赤字の対名目GDP比率は2.6%に上った。

赤字を計上したのは国(連邦)だけで、州と市町村、社会保険は黒字を確保している。

22年10-12月期のGDP統計はまだ公表されていない。22年通期のデータからみて前期比で横ばいになったと目されている。

23年は緩やかなマイナス成長ないし横ばいが予想されている。Ifoのヴォルマースホイザー氏は、1-3月期はGDPがやや縮小し、4-6月期も横ばいにとどまるものの、その後はインフレ率の大幅低下と所得の大幅増を受けて回復に向かうとの見方を示した。