ドイツ連邦統計局が17日発表した2022年の消費者物価指数は前年比7.9%増となり、上げ幅は前年(3.1%)の2.5倍以上に膨らんだ。統計基準の変更を度外視するとインフレ率はドイツ連邦共和国(現ドイツ)が発足した1949年以降で最高。サプライチェーンのひっ迫にウクライナ戦争に伴うエネルギー・食品価格の高騰が追い打ちをかけ、物価が急上昇した。
22年のインフレ率を月別でみると、最も低い1月でも4.9%(前年同月比)に上っていた。ロシアがウクライナに軍事侵攻した直後の3月には7.3%へと大きく上昇。その後、自動車燃料税の時限引き下げなど市民負担軽減策の効果で6~8月は大幅上昇が回避されたが、9月から急上昇が再び始まり、10月には過去最高の10.4%を記録した。11月以降はエネルギー価格の高騰がピークを過ぎたこともあり鈍化している。
物価を最も強く押し上げたのはエネルギーで、上げ幅は34.7%に達した。前年(10.4%)の3倍以上の水準だ。灯油が87.0%、天然ガスが64.8%、自動車燃料が26.8%、電力が20.1%となっている。エネルギーを除いたインフレ率は4.9%だった。
食料品の上げ幅は前年の3.2%から13.4%へと4.2倍に拡大した。食用油脂は36.2%、乳製品・卵は19.7%、食肉・肉製品は14.6%、パン・穀物製品は13.5%高くなった。エネルギーと食料品を除いた基礎インフレ率は4.0%となっている。
非耐久消費財は18.0%、耐久消費財は5.3%上がった。車両は8.7%で、中古車に限ると21.2%と上げ幅が大きい。半導体不足に伴う自動車生産の停滞で中古車需要が急拡大したことが背景にある。
サービス価格は平均2.9%上昇した。上昇率は飲食・宿泊(7.4%)、自動車整備・修理(6.4%)などで大きかった。近距離鉄道料金は地域公共交通機関を1カ月9ユーロで利用できる定期券が6~8月の3カ月間、導入された効果で8.8%低下した。
12月のインフレ率は前年同月比8.6%となり、2カ月連続で低下した。エネルギー価格の上昇鈍化のほか、同月の天然ガス・地域熱料金を国が負担したことが大きい。エネルギーを除いたインフレ率は6.8%、エネルギーと食料品を除いた基礎インフレ率は5.2%だった。
12月の前月比のインフレ率はマイナス0.8%で、2カ月連続でマイナスをなった。
欧州連合(EU)基準の22年のインフレ率は8.7%に上った。12月は前年同月比が9.6%、前月比がマイナス1.2%となっている。