欧州委が医療機器規則の適合期限延期を提案、供給不足の懸念に対応

欧州委員会は6日、EU域内で流通する医療機器が不足する事態を防ぐため、2021年5月に適用が開始された「医療機器規則」の適合期限を延期する改正規則案を発表した。新ルールに基づく適合性評価などの煩雑な手続きによって重要な医療機器が供給不足に陥ることがないよう、製造業者に新規則に適合するための時間的猶予を与え、現在流通している医療機器が引き続き有効性を維持できるようにする。今後、欧州議会と閣僚理事会で欧州委の提案を検討する。

医療機器規則は国際的に認知された透明性の高い持続可能な規制の枠組みを構築するため、国内法に置き換える必要がある従来の医療機器指令に代わって17年4月に採択された。新旧ルールの基本的規制要件はほぼ同じだが、新規則では通知機関の指定に関する要件が厳格化され、各国当局および欧州委員会による統制と監視が強化されている。また、機器に関する情報や性能研究の公表を義務付けるなど、透明性の確保にも重点が置かれている。

旧指令の下で認証を受けた機器も新規制の対象となり、再度認証を受ける必要があるが、24年5月26日までは旧指令に基づいて発行された証明書で引き続き域内での販売が可能となっている。欧州委は医療機器のリスク分類に応じて新規則への適合期限を延期することを提案しており、安全性が確保されていることなどを条件に、高リスク機器は27年12月31日、中・低リスク機器は28年12月31日が新たな期限となる。

欧州委のキリアキデス委員(保健・食品安全担当)は先に、医療機器規則に基づく審査手続きの煩雑化などにより、心臓疾患をもつ新生児の手術に用いられるカテーテルなど、一部の必須医療機器の供給が脅かされていると指摘し、適合期限の見直しを近く提案すると発言していた。

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