バイオ医薬品大手の独ビオンテックは2日、同国中部のマールブルクにある工場で新たな生産設備の完成イベントを行った。同設備ではメッセンジャーRNA(mRNA)を用いたワクチン・治療薬の主要な原材料であるプラスミドDNAを生産する。同社はこれまでプラスミドDNAを他社から調達してきた。独自の生産設備を持つことで今後はmRNA薬の開発・生産を柔軟に行えるようになる。イベントにはショルツ首相が駆けつけた。
臨床試験用の小規模生産設備と商業生産用の大規模生産設備を設置した。投資額は4,000万ユーロ。小規模設備は昨年8月からすでに稼働している。大規模設備も当局の承認を得て年末までに操業を開始する見通しだ。
独自生産設備を確保したことで、同社は自社で必要とするプラスミドDNAを基本的に内製できるようになった。mRNA薬の需要が大幅に増えた場合はこれまでのように他社から調達する。
ショルツ氏はビオンテック製のmRNAワクチンが新型コロナウイルス感染症対策で世界的に大きな役割を果たしたことを念頭に、「医薬品の技術革新と生産の立地としてドイツが何を達成できるのかがパンデミックで証明された。ドイツと欧州はローカルなバリューチェーンの構築を通してよりレジリエントになる」と明言。医薬品産業の競争力を高めるため、法改正を通して工場や医薬品の認可手続きを加速する意向を表明した。