米独仏の関係閣僚が透明性確保で合意、BEV優遇策巡り

ドイツのハーベック経済・気候保護相とフランスのルメール経済・財務相は7日、ワシントンで米国のイエレン財務長官やレモンド商務長官と会談し、電気自動車(BEV)購入支援策などを盛り込んだ米国のインフレ抑制法について協議した。独仏は北米産BEVの優遇措置がEU企業に及ぼす影響について改めて懸念を表明。問題解決に向けた具体策は提示されなかったものの、双方はBEV優遇策について透明性を確保することで合意した。

BEV購入支援策は米国、カナダ、メキシコで最終組み立てが行われたBEV車両の購入に際し、1台当たり最大で7,500ドルの税額控除が受けられるという内容。BEVの普及促進を図りながら、中国製品のシェア拡大を阻む狙いだが、対象を北米で組み立てた新車に限定しているため、EU側は域内の企業が競争で不利になったり、生産拠点を北米に移す事態を懸念している。

ハーベック氏とルメール氏はイエレン氏との会談後、双方は必要に応じてEU側が米国のBEV優遇策と同等の措置を取れるよう、補助金や税額控除の水準について完全な透明性を確保する必要があるとの認識で一致し、EUと米国が昨年10月に立ち上げたタスクフォースの下に作業部会を立ち上げることで合意したと明らかにした。

今回の協議ではこのほか、貿易やハイテク分野での協力強化を目的とするEU米貿易・技術評議会(TTC)で環境対応型製品の共通基準を策定することや、バッテリーの原材料となる鉱物の調達で中国など特定の国への依存を低減するため、「重要鉱物クラブ」の設置を模索することで合意した。

北米製BEVの優遇策をめぐっては、バイデン大統領が昨年12月、訪米したフランスのマクロン大統領との会談後に「微調整」する意向を表明。EU・米は直後に開かれたTTC第3回会合でも同措置の見直しで一致し、共同声明に「(米側が)建設的に対処する」と明記したが、具体的な進展はみられていない。

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