インテル―独工場への補助金、大幅増額を要求―

米半導体大手のインテルが、ドイツに工場を建設する計画に絡んで補助金の大幅引き上げを求めている。高インフレと市場環境の変化を受けて、エネルギー、物流、建設コストが大きく膨らむ見通しとなっているためで、広報担当者は公共放送MDRに8日、「コストのギャップを埋めるため、このプロジェクトを世界的に競争力のあるものにするため」政府と緊密に協議していることを明らかにした。

同社は昨年3月、独東部のマグデブルクに2工場を建設する計画を発表した。欧州連合(EU)が半導体企業の誘致を積極的に開始したことを受けた措置。これまでの計画では国から68億ユーロの補助金を受け取る予定となっている。

経済紙『ハンデルスブラット』が政府関係者の情報として報じたところによると、インテルは同プロジェクトを実現するためには補助金を約100億ユーロに引き上げる必要があると訴えているという。

同社が補助金の大幅増額を求める背景には、コスト膨張のほか、米国で昨年8月にCHIPS法が成立したことがあると目されている。同法は最先端半導体を中国が確保し軍事に転用することを防ぐことのほか、台湾・韓国に後れを取っている米国の半導体産業を再強化することを狙ったもの。5年間で総額527億ドルの補助金を交付し内外の企業に交付しエコシステムを自国に構築していく。

インテルはこの事情を利用してマグデブルク工場建設計画の見直しを示唆しているとの指摘が、専門家の間からは出ている。ドイツ政府に揺さぶりをかけ、補助金増額を引き出す狙いという。

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