エネルギー分野のプロジェクト開発を手がける独コンユンクタは9日、同社が参加する国際コンソーシアムがモーリタニアにグリーン水素プラントを設置することで同国政府と基本合意したと発表した。モーリタニアはグリーン水素製造の有力国と目されており、すでに大型プロジェクト4件が計画されている。アブデサラム・モハメド・サーレハ石油・鉱業・エネルギー相は、「わが国は今後数十年で、グリーン水素経済世界地図で主導的な役割を演じるようになる」と強い意欲を示した。
コンユンクタとエジプト企業インフィニティ、アラブ首長国連邦(UAE)のマスダールからなるコンソーシアム「インフィニティ・パワー」がモーリタニア政府と趣意書(MOU)を締結した。首都ヌアクショットの北東にプラントを建設し、グリーン水素やグリーンアンモニアを製造。ドイツを中心とする欧州に輸出する計画だ。
同プロジェクトは計4段階からなる。まずは400メガワット(MW)級の電解設備を設置し、風力、太陽光由来のグリーンな電力を用いて2028年から水素およびアンモニアなどの川下物質の生産を開始する。最終的には電解能力を最大10ギガワット(GW)とし、水素を年800万トンできるようにする。投資総額は340億ドルに達する見通しだ。
コンユンクタのシュテファン・リービング最高経営責任者(CEO)は、ドイツは販売市場のほか、水素生産に必要な設備の供給元としても重要な役割を果たすと述べた。同社はアンゴラでも現地の国営石油会社ソナンゴールとグリーン水素プロジェクトを進めている。
モーリタニアは計画中のグリーン水素プロジェクトが多く、オーストラリア、エジプト、米国、カナダとともに5大国の一角をなしている。英石油大手BPは昨年、水素プロジェクトを行うことで同国政府と合意した。