ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)は13日、経営破綻した米シリコンバレー銀行(SVB)の独支店に対し、資産売却と支払いの禁止を同日付で命じたと発表した。債権者の保護が狙いで、顧客との取引も禁止した。金融システムの安定性が損なわれる恐れはないとしている。
SVBは預金者の取り付け騒ぎを受けて10日に経営破綻し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に入った。12日には当局が預金の全額保護を表明しており、同行に預金を持つスタートアップ企業などの顧客が資金繰りに行き詰まる懸念は回避されそうだ。
BaFinは声明で、SVB独支店に対する今回の措置を「FDICに移管されたシリコンバレー銀行の事業に関する決定が下されるまで」適用すると表明した。
同支店は2018年5月30日付でフランクフルトに開設された。融資業務を行っているものの、預金業務は行っていないことから、預金者保護を行う必要はない。総資産も7億8,920万ユーロ(22年12月末時点)にとどまることから、同支店の破綻がドイツの金融システムに影響を与えることは考えにくい。政府のシュテッフェン・ヘーベシュトライト報道官は13日、SVBの破綻は07~10年の世界金融危機のような深刻な事態に発展しないとの見方を示した。ドイツ銀行協会(BdB)もドイツの金融機関の自己資本が世界金融危機後に大幅増強されたことを指摘し、国内銀行が受ける影響は極めて小さいと強調した。