オランダ政府は8日、先端的な半導体技術の新たな輸出規制を計画していることを明らかにした。中国を名指しはしていないものの、米国の対中輸出規制に追随する形で、先端技術が軍事利用されるのを防ぐ狙いがある。夏前の導入を目指す。
米政府は2022年10月に中国向けの先端半導体技術や製造装置の広範な輸出規制を導入した。ただ、対中規制が効果を発揮するには国外の主要サプライヤーの協力が不可欠で、バイデン政権は日本とオランダに追随するよう要請。3カ国政府は1月末にワシントンで協議し、米国に足並みを揃えることで合意したとされる。
オランダの対応は、スフレイネマーヘル貿易・開発協力相が議会に宛てた書簡で明らかになった。オランダは既に最先端の極端紫外線(EUV)露光装置の輸出を規制しているが、一段レベルが低い深紫外線(DUV)露光装置も規制の対象とする内容。スフレイネマーヘル氏は書簡で「国家安全保障の観点から、できるだけ早くこの技術を管理下に置く必要があると考える」と述べている。
規制の対象となる企業の具体名には言及していないが、オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングは先端半導体の製造に必要な露光装置で世界をリードしている。ASMLは声明で、今回の措置が同社の業績見通しに影響することはないが、DUV露光装置については今後、輸出許可を申請する必要が生じると説明している。