メルセデスが増益確保、上位モデルの販売増で

高級車大手の独メルセデスベンツが28日発表した2023年1-3月期決算の営業利益(EBIT)は55億400万ユーロとなり、前年同期を5%上回った。物価高騰で調達コストは膨らんだものの、利幅の大きい上位モデルの販売が好調で増益を確保した。ハラルド・ヴィルヘルム取締役(財務担当)は、昨年打ち出した上位モデルの重点強化戦略が奏功したと述べるとともに、同戦略の効果で経済の先行きが不透明ななかでも車両の電動・コネクテッド化に向けた資金をねん出できるとの認識を示した。

売上高は8%増の375億1,600万ユーロ、純利益は12%増の40億1,100万ユーロだった。

部門別ではバンが全体をけん引した。EBITは119%増の7億6,200万ユーロと2倍以上に拡大。売上高は25%増の46億1,500万ユーロで、売上高営業利益率は前年同期の9.4%から16.5%に上昇した。

主力の乗用車部門ではEBITが3%減の41億4,800万ユーロに後退した。売上高が8%増の278億1,200万ユーロに拡大したことから、売上高営業利益率は16.5%から14.9%へと低下した。

同社はこのほど、ロシア子会社5社を現地の販売会社アフトドーム(Avtodom)に売却し、同国事業からの撤退をほぼ完了した。売却した子会社については買い戻しのオプション権を持っている。売却額は公表されていないが、メルセデスは今回の決算発表で4-6月期の利益が押し下げられる見通しを明らかにした。保有する露商用車・戦車メーカー、カマズの株式15%については売却を模索しているものの、現時点で見通しは立っていないもようだ。

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