ハンガリーのペーテル・シーヤールト外務貿易相は15日、訪問先の北京で、中国企
業がハンガリーの自動車産業に総額30億ユーロを投資する計画であることを明らか
にした。現地の大手企業4社が、ドイツ自動車メーカーへの供給を目的に電気自動
車(EV)分野でのプロジェクトを具体化させているという。
中国EV産業関連メーカーとしては、メルセデスベンツに車載電池を供給する寧徳時
代新能源科技(CATL)がすでに昨年、東部デブレツェンに73億ユーロを投じてギガ
ファクトリーを設置する計画を明らかにしている。今月9日には中国の湖北億緯動
力(Eve Power)が、ハンガリーのBMW工場向けにバッテリーを生産するため12億米
ドルを投じて現地生産体制を整える計画を発表した。ただ、これが今回の30億ユー
ロに含まれるのかは不明だ。
シーヤールト外務貿易相は、中欧における中国の国別投資残高でハンガリーが22年
末現在、トップであることに触れた。そのうえで、今回の30億ユーロが加わること
でハンガリーの中国投資受入国としての地位を強化し、経済成長を継続することに
貢献するという見方を示した。また、政府としても中国企業への協力を惜しまない
姿勢であることを明確にした。
■ハンガリーの独自路線を強調
シーヤールト外務貿易相は中国訪問中、ツイッターで、ハンガリー政府としては
「欧州連合(EU)と中国の提携がより強まることを望んでいるが、EUが中国企業を
制裁リストに加えたり、中国を輸出制限の対象としたりすれば、もちろん、これは
実現できなくなる」と投稿した。欧州連合(EU)の対ロ追加制裁をめぐり、中国企
業を制裁リストに載せることが検討されていることを踏まえて、EUをけん制した格
好だ。
また、今回の訪問を機に、華為技術(ファーウェイ)の奨学金プログラムにハンガ
リーのブダペスト行政大学が加わることになったことについても、「国籍を理由に
特定の企業を競争から排除しないという立場を堅持する」と話し、EUにおけるヴィ
クトル・オルバン政権の独自路線を改めて強調した。