独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)グループの中核をなすVWブランド乗用車は14日、収益力の強化に向けたプログラムを実施すると発表した。低迷する利益率を大幅に引き上げることで、新技術や車両、工場近代化に必要な資金を確保し、雇用を安定的に維持する狙い。従業員代表の事業所委員会と今後、詳細を詰め、10月までに正式決定する。
VWブランド乗用車の1-3月期の売上高営業利益率は3%にとどまった。トーマス・シェーファー最高経営責任者(CEO)は5月中旬の従業員宛て文書で、「危機の時期そして不安定性が続く世界であっても良好で競争力のある利益率を達成できなければならない」と指摘。収益力強化に取り組み考えを表明していた。
「アクセレート・フォワード|ロード・ツー6.5」と命名された同プログラムは、2026年までに利益を100億ユーロ増やし、売上高営業利益率で恒常的に6.5%を達成できるようにするというもの。目標を実現するため、事務手続きの簡素・迅速化や開発・生産の効率化、モデルの種類と装備バリエーションの削減を進める。販売台数の少ないモデルは廃止する意向で、セダン「アルテオン」は後継モデルを投入しない。また、電気自動車「ID.7」の装備バリエーションは「ゴルフ7」に比べ99%減らす。需要や市場の変動に柔軟対応できるよう世界の工場の稼働率を最適化する措置も行う。
さらに、VWブランド乗用車とともに大衆車ブランドグループ「MGV」に属するVWブランド商用車、セアト/クプラ、シュコダとの連携を強化する。VW「パサート」とシュコダ「シュペルブ」は開発と生産を共同化。ライフサイクル全体でコストを6億ユーロ圧縮する。MGVのアフターセールス共同化を通してもコスト削減を図る。