自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)グループは21日の投資家説明会で、競争力の強化方針を打ち出した。車載OS開発の遅れや中国市場シェアの低下など大きな問題を抱え、市場の圧力を受けていることに対応。レジリエンスの強化や収益力の向上を通して投資家の信頼を取り戻す意向だ。
2022年12月期の売上高営業利益率は8.1%だった。同社はこれを30年までに9~11%へと引き上げる計画。目標実現に向け、ブランドごとに収益力向上プログラムを策定し、それぞれの利益率目標を定める。「量より質」を重視する方針で、利益率を犠牲にした販売増は追及しない。
プラットホーム、電池、ソフト、モビリティサービスの計4つの技術分野ついては、グループ全体で統一的に事業を進め、各ブランドがスケールメリットを享受できるようにする。
中国市場では電気自動車(BEV)の需要が急増し、BEVに強い現地メーカーの存在感がにわかに高まっている。現時点で内燃機関車がメインのドイツ勢の地盤は沈下。VWは危機感を持っている。シェアを死守するため、中国市場向け製品の現地開発・生産を強化し、顧客ニーズに対応できるようにする意向だ。
同社は今回、カテゴリー別に計4つある「ブランド・グループ」の名称を変更することも明らかにした。大衆車を対象とする「ボリューム」を「コア」、高級車アウディを中心とする「プレミアム」を「プログレッシブ」、ポルシェを対象とする「スポーツ」を「スポーツ・ラグジュアリー」、大型商用車の「トラック・アンド・バス」を「トラックス」に改める。