半導体製造の独エルモス・セミコンダクターは28日、同国西部ドルトムントのウエハー工場を米電機大手リテルヒューズに売却することで合意したと発表した。当初は中国同業・賽微電子(サイ・マイクロエレクトロニクス)のスウェーデン子会社シレックス・マイクロシステムズに譲渡する計画だったが、独連邦経済省が公共秩序と安全にとってリスクとなる恐れがあると判断し拒否権を行使したことから、新たな売却先を模索していた。エルモスのアルネ・シュナイダー社長は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、リテルヒューズへの売却が経済省から承認されないことは考えられないと述べ、取引完了に自信を示した。
ドルトムントのウエハー工場を約9,300万ユーロで売却する。従業員およそ225人がリテルヒューズに移籍することになる。取引の成立には経済省を含む関連当局の承認が必要。エルモスは年内の売却手続き完了を見込んでいる。
同社は今回、取引完了から2029年までの期間、ドルトムント工場からウエハーの供給を受けることも取り決めた。リテルヒューズは同工場を長期的にパワー半導体の生産拠点へと改める意向だ。