高級乗用車大手の独メルセデスベンツは9日、同社が開発したレベル3(米自動車技術会=SAE)の自動運転システム「ドライブ・パイロット」が米カリフォルニア州の認証を受けたと発表した。レベル3の承認を同州で受けた自動車メーカーはメルセデスが初めて。同州に2021年まで本社を置いていた米テスラに先んじた格好だ。今年末から同システム搭載車(「Sクラス」と「EQS」)の顧客引き渡しを開始する。
ドライブ・パイロットはメルセデスが独自開発した自動運転システムで、走行速度など一定の条件を満たしていれば運転をシステムに任せ、ドライバーはオンラインショッピングやメールのやり取りなど他の作業を行える。すでにドイツと米ネバダ州で承認されている。
システムが機能する速度の上限は現在、ドイツで時速60キロメートル、米国で同40マイルとなっている。段階的に同速度を引き上げていく意向で、次の段階として90キロを実現。30年までに130キロへと引き上げる。
広報担当者は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、渋滞が多い国・地域に照準を合わせていることを明らかにした。欧州ではフランス、英国、オランダが視野に入っている。同システム搭載車を投入できるのは法的な前提条件が存在する国・地域に限られる。