ドイツと中国の政府間協議が20日、ベルリンで開催された。独中の政府間協議は7回目。今回は西側諸国と中国の地政学的な対立を背景に両国関係が冷え込んでいることから、「環境・トランスフォーメーション対話」の設立で基本合意した以外にこれといった成果はなく、共同声明も発表されなかった。中国にとっては米国・欧州連合(EU)などとの関係が悪化するなかで、EUの主要国であるドイツとの外交関係の継続をアピールできたことが最大の成果と言える。
中国の李強首相は19~21日の3日間、ドイツに滞在した。そのなかで最も注目を集めたのは、政府間協議後に開催された独中経済フォーラムでの発言だ。李氏は「デリスキングの名目で他の国々を制限ないし排除するために差別的な措置を行うのであれば、それは市場原理、ならびに公正な競争と国際貿易機関(WTO)のルールに反する」と強調。EUのフォンデアライエン欧州委員長が対中政策に関する3月の講演で打ち出した「デリスキング(リスク低減)」が実質的には中国を国際経済から排除する「デカップリング(切り離し)」となることに警戒感を示した。