米英首脳が経済分野の協力強化で合意、供給網の強靭化や安全なAI活用など柱

英国のスナク首相と米国のバイデン大統領は8日、ホワイトハウスで会談し、サプライチェーン(供給網)の構築や人口知能(AI)、重要鉱物など幅広い分野での協力強化を盛り込んだ「大西洋宣言」に合意した。ロシアと中国を名指しして「国際社会の安定は権威主義国家から新たな挑戦を受けている」との認識を示し、経済安全保障を強化する方針を表明した。

大西洋宣言は「安全で責任ある技術開発」を重視したAIや半導体などデジタル分野での連携や、防衛・宇宙分野での同盟強化などを柱とする内容。電気自動車の(EV)の電池に使用されるコバルトやリチウムなどの安定供給を確保するため、重要鉱物に関する協定締結に向けた交渉を開始することでも合意した。AIについては「社会や経済を変える可能性があるが、コントロールしなければ大きな損害を与える恐れもある」と指摘し、英国が今秋に初めて開催するAIの安全対策に関する国際会議の成功を目指すと表明した。

スナク氏は記者会見で「AIなどの問題をはじめ、経済分野における将来の協力関係を示した他に類をみない経済パートナーシップ」と形容。「EU離脱後の英国がどのようなパートナーになるか疑問視する向きもあるだろうが、これまでと同様、信頼できる同盟国であり、魅力的な投資先だ」と強調。バイデン氏は「経済パートナーシップは米英による協働の力の源だ」と応じた。

このほか両首脳はロシアの軍事侵攻が続くウクライナへの支援継続を改めて確認した。バイデン氏は「長期的な安全保障の確保が目標だ」と強調。野党の一部から支援の縮小を求める声が出ているとの質問に対し、「必要な支援を継続するための資金を確保できると信じている」と答えた。スナク氏も「プーチン大統領は西側諸国の支援疲れを待っているのだろうが、そうはならない。必要な限り支援を続ける」と明言した。

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