欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2023/6/19

EU情報

ECBが8会合連続で利上げ、金利は22年ぶり高水準に

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は15日に開いた定例政策理事会で、政策金利を0.25ポイント引き上げることを決めた。利上げは8会合連続で、金利は22年ぶりの高水準となった。ユーロ圏は景気後退入りしたが、インフレ対策を優先。ラガルド […]

欧州中央銀行(ECB)は15日に開いた定例政策理事会で、政策金利を0.25ポイント引き上げることを決めた。利上げは8会合連続で、金利は22年ぶりの高水準となった。ユーロ圏は景気後退入りしたが、インフレ対策を優先。ラガルド総裁は次回の会合でも利上げを続ける方針を示した。

主要政策金利は3.75%から4.0%、民間金融機関が余った資金をECBに預け入れる際の金利(中銀預金金利)は3.25%から3.5%に引き上げられる。新金利は21日から適用される。

ユーロ圏ではインフレ率が鈍化傾向にある。5月は前年同月比6.1%となり、前月の7.0%から大きく縮小した。ただ、ECBの目標値である2.0%を大きく超えている。

ECBはとくに賃上げ加速がインフレ圧力になっているとして警戒しており、同日発表した最新の内部経済予測ではインフレ率を23年が5.4%、24年が3.0%とし、それぞれ前回(3月)から0.1ポイント上方修正した。25年も目標を上回る2.2%になると予想している。

一方、ユーロ圏の景気は物価高、ECBの金融引き締めで悪化している。22年10~12月期と23年1~3月期の域内総生産(GDP)は前期比で0.1%減少。2四半期連続のマイナス成長となり、景気後退入りした。内部予測では23年が0.9%増、24年が1.5%増となるが、いずれも前回から0.1ポイント引き下げた。

ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、インフレ率が「あまりにも長期にわたって高すぎる」と指摘。「利上げ停止は考えていない」と述べ、景気よりインフレ対策を優先していく意向を表明した。経済データに大きな変化がない限り、7月27日に開く次回の会合で追加利上げを決める「可能性が非常に高い」と述べ、利上げ継続を事実上予告した。