ドイツ連邦陸運局(KBA)が5日発表した6月の乗用車新車登録台数は前年同月比24.8%増の28万139台となり、増加幅は前月の19.2%から一段と拡大した。サプライチェーンのひっ迫緩和を受けて受注残の消化が加速。前年同月を5カ月連続で上回った。ただ、コロナ禍前の19年6月に比べると13.9%少ない。1~6月も前年同期比12.8%増の139万6,870台に拡大したものの、19年同期比では24.5%減少した。
6月の新車登録を動力源別でみると、電気自動車(BEV)は64.4%増の5万2,988台と大きく拡大した。プラグインハイブリッド車(PHV)を含むハイブリッド車(HV)は19.7%増の7万8,249台と2ケタ増を確保したものの、PHVは補助金打ち切りの影響で39.2%減の1万5,930台と大きく落ち込んだ。純粋な内燃機関車はガソリン車が19.8%増、ディーゼル車は10.3%増だった。
シェアをみると、BEVは前年同月の14.4%から18.9%へと拡大した。HVは27.9%で、1.2ポイント減少。PHVは6.0ポイント減の5.7%へと急低下した。ガソリン車は35.6%(前年同月37.0%)、ディーゼル車は16.7%(同18.9%)だった。BEVとPHVの合計のシェアは24.6%(26.1%)、BEVとHVは同46.8%(43.5%)となっている。
走行1キロメートル当たりの新車の二酸化炭素(CO2)排出量は115.1グラムで、前年同月を2.3%下回った。1~6月は前年同期比0.7%増の121.0グラムに拡大している。
6月の部門別の新車登録台数はミニバンが14.9%減少した以外はすべて増加した。シェアではトップのSUVが29.8%から31.4%へと拡大。2位コンパクトカーは0.4ポイント減の15.7%、3位小型車は1.1ポイント減の11.4%へと後退した。
伸び率が最も大きかったブランドはポールスターで、294.2%増の950台を記録。スマート(185.8%増の1,706台)、MGロエベ(184.0%増の2,633台)、テスラ(176.6%増の8,044台)、アルピーヌ(124.0%増の56台)、モーガン(100.0%増の4台)も3ケタ台の伸びとなった。
ドイツ車はBMW(0.6%減の1万9,595台)を除いてすべて増加した。ミニ(47.2%増の4,675台)、アウディ(42.5%増の2万4,923台)、MAN(38.2%増の217台)、ポルシェ(34.9%増の3,417台)、メルセデス(29.9%増の2万5,207台)は平均(24.8%)を上回る伸びを記録。VW(22.4%増の5万3,210台)、フォード(14.2%増の1万2,049台)、オペル(6.6%増の1万4,506台)も前年同月を上回った。
日本車ではマツダ(90.0%増の4,475台)、レクサス(60.9%増の378台)、スズキ(43.2%増の1,751台)、スバル(34.9%増の406台)、日産(22.1%増の2,757台)、トヨタ(10.4%増の7,614台)が2ケタ台の伸びを記録。ホンダ(36.9%減の418台)と三菱(43.2%減の1,532台)は減少した。
日本車以外の主な輸入ブランド(シェア1%以上)をみると、ボルボ(97.3%増の4,318台)、ダチア(44.9%増の8,233台)、起亜(26.6%増の8,353台)、セアト(24.4%増の1万3,455台)、フィアット(23.7%増の8,084台)、シュコダ(19.8%増の1万4,758台)、プジョー(18.2%増の4,548台)、現代(15.0%増の1万23台)、ルノー(7.3%増の7,391台)は増加。シトロエン(7.9%減の3,509台)は落ち込んだ。
新参組の中国ブランドはGWM(長城汽車)が196台、NIO(蔚来汽車)が145台、BYD(比亜迪汽車)が63台、AIWAYS(愛馳)が15台だった。
■新規受注は減少
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した6月の国内乗用車生産台数は38万9,900台となり、前年同月を31%上回った。輸出台数も28%増えて29万6,500台となった。1~6月の累計は生産台数が前年同期比32%増の223万2,600台、輸出台数が32%増の166万9,700台だった。
景気の低迷を受け、独メーカーの新規受注台数は減少している。特に国内が不振で、6月は前年同月比20%減、1~6月は前年同期比27%減となった。国外はそれぞれ12%減、5%減だった。