天然ガスパイプライン運営事業者の独業界団体FNBガスは12日、国内で計画されている水素中核輸送網の現状を発表した。今後は配ガス事業者や州、各種業界団体の意見を聴取したうえで中核輸送網の最終案を策定。管轄官庁である連邦ネットワーク庁の承認を得る。これと並行して法制化手続きも行われる。
中核輸送網は全国の港湾、主要産業地域、貯蔵施設、発電所を結ぶ主要なパイプライン網で、ドイツを東西南北に走る。「水素アウトバーン」とも呼ばれる。今回発表された計画は2032年までに水素輸送を開始するパイプラインが対象で、計302件のプロジェクトが反映されている。総延長は1万1,200キロメートルに上る。FNBのバーバラ・フィッシャー専務理事は、パイプラインの新設を必要最低限に抑える方針を示したうえで、半分以上を天然ガスパイプラインの転用で確保する見通しを明らかにした。今後の調整の過程で、総延長は短縮される可能性が高い。
国内で生産されたり、アンモニアや液体有機水素キャリア(LOHC)の形で輸入される水素の量は計101ギガワット(GW)と想定されている。そのうち87GWを中核輸送網で輸送できる。