中部電力は14日、同社出資のカナダ企業エバー・テクノロジーズがドイツで進める地熱発電・地域熱供給プロジェクトに参画すると発表した。地熱事業に関する知見を獲得する狙い。将来的に国内で事業化することを視野に入れている。
エバーは2017年の設立。クローズドループ地熱利用技術の独自技術「エバーループ」を持つ。中部電力は昨年、エバーに資本参加し、同技術の商業化支援に乗り出した。
エバーループは地下およそ5,000メートルにループを掘削・設置したうえで、内部に水を循環させることで地下熱を効率的に取り出し、地上で発電や地域熱供給を行う技術。発電では沸点の低い媒体を加熱して発生させた蒸気でタービンを回すバイナリー方式を採用する。地下の熱水や蒸気が十分に得られない地域でも効率的に熱を取り出すことが可能であることから、幅広いエリアでの開発が可能となる。また、掘削後に地下の熱水や蒸気の不足により開発が中止となるリスクを回避できる。
エバーはエバーループの初の商業化を、独南部バイエルン州で進める「ゲーレッツリート地熱事業」で実現する。1本目のループの掘削を10日に開始しており、2024年10月には部分運転を開始する予定だ。26年8月には全4本のループを完成させ、全面運転を始める。出力は発電が8,200キロワット(kW)、熱供給が6万4,000kW。欧州連合(EU)イノベーション基金から補助金9,160万ユーロの交付を受ける。
中部電力は同プロジェクトの事業会社エバー・エルトヴェルメ・ゲーレッツリートの株式およそ40%を取得する。