ポーランドの新車販売価格が高騰し続けている。上昇の勢いは鈍ってきているもの
の、新規登録された乗用車の平均価格は6月に17万5,700ズロチ(約623万円)とな
り、最高記録をまたもや更新した。それを反映するように販売店への客足が鈍り、
売れ行きにブレーキがかかる懸念も出てきた。
自動車市場調査会社サマールがまとめた今年上半期の乗用車販売台数は前年同期比
12.4%増の23万8,700台弱へ伸びた。しかし、自動車販売業者連盟(ZDS)とテクノ
ロジー企業プロクシ・クラウドがまとめた調査によると、ショールーム訪問客数は
第2四半期に20.8%減少。価格上昇が続く一方、消費者は新車の購入をできる限り
遅らせようとしているもようだ。
ZDSは、「高インフレを受けて、高価な買い物ほど消費者は慎重になっている」と
し、「買い控えがやわらぐのは早くても10月からとなり、年内に完全に消費が戻る
ことはない」と予測する。
オンライン自動車販売プラットフォームのカースマイルは、今年の値上がり幅(定
価ベース)は最大で10%にとどまるとみる。供給回復を受けて割引販売が再開して
いるため、実売価格では低下もありうるという。
ただ、一般消費者にとって新車を買うのが大変なのには変わりがない。5月の平均
価格は15万4,900ズロチと、手取り月給の平均の30カ月分にも上る。電動車は27万
6,600ズロチとさらに高く、53カ月分に相当する。
新車購入者の過半数は大口顧客だが、ポーランド車両レンタル・リース業者協会
(PZWLP)によると、物価上昇による運転資金の拡大、社会保険料・最低賃金の上
昇などへの対応に苦労している企業が多い。小さい企業では社用車関連コストをき
ちんと把握していないところも多いという。
ポーランドの新車購入では、リース、レンタル、割賦を利用するケースが半分以上
を占める。このため、月々の自動車関連費用に
金利水準が直接影響する。カースマイルでは、秋の議会選挙前にはインフレ率が低
下し、政策金利も引き下げられ、リース利用者の負担も軽減されるとみる。
一方、中古車市場は依然として品不足気味だ。現在、車齢の若い高級ブランド車の
需要が伸びているという。(1PLN=35.48JPY)