化学大手ランクセスが競争力強化へ、独では生産を一部停止

化学大手の独ランクセスは4日の決算発表で競争力強化に向けた措置を実施することを明らかにした。景気が世界的に低迷しているうえ、ドイツはエネルギー高などの問題を抱えていることから、経費を圧縮するとともに、高い収益力を保てる事業モデルを構築していく。マティアス・ツァッヒェルト社長は「現在の景気の弱含み局面で産業立地ドイツは国際的に競争力がない。われわれはサステナブルな枠組み条件を緊急に必要としている。特に、国際競争を可能にする産業用電力価格と過剰規制の緩和、認可手続きの迅速化を」と述べ、政策当事者が適切な対応をすることも必要不可欠だと強調した。

「フォワード!」という名の競争力強化プログラムを打ち出した。まずは緊急措置として2023年のコストを1億ユーロ削減する。すべての部門で経費の基準を厳格化するほか、欧州で新規採用を停止。研究開発費も5,000万ユーロ削る。

構造的な措置も実施し、25年からはコストを恒常的に1億5,000万ユーロ圧縮する。管理部門をスリム化するとともに、生産体制の見直しを実施。独クレーフェルト市イーアディンゲン工場ではエネルギー集約度の高いヘキサンジオンの生産を26年までに停止する。同工場の酸化クロム生産事業については売却先を模索し、買い手がない場合は操業停止を検討する。

同社はこれまで特殊化学メーカー化を一貫して推し進めてきた。今後はこの取り組みを一段と強化する意向で、新規事業のポテンシャルを最大限、引き出していく。持続可能な製品も拡充する考えだ。

23年4-6月期(第2四半期)決算の営業利益(EBITDA、特別要因を除く)は1億700万ユーロとなり、前年同期を57.7%下回った。景気低迷を受け顧客が在庫削減を進めているうえ、販売価格も低下していることが直撃。売上高は11.1%減の17億7,800万ユーロで、売上高営業利益率は前年同期の12.7%から6.0%へと大きく落ち込んだ。純利益は非継続事業の大幅増益の効果で9,300万ユーロから13億7,100万ユーロに急拡大したものの、継続事業ベースでは1億4,500万ユーロの赤字を計上。前年同期の黒字(4,800万ユーロ)から悪化した。

同社は市場低迷の長期化を受け23年12月期の業績予測を6月に下方修正した。営業利益を従来予測の「8億5,000万~9億5,000万ユーロ」から「6億~6億5,000万ユーロ」へと引き下げている。

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