ドイツ政府は16日の閣議で、太陽光発電設備を住宅や商工業施設に簡単に設置できるようにする法案(ゾラーパケート1)を了承した。設置の障害を可能な限り取り除き、ソーラー発電の普及を大幅に加速させる狙い。議会での可決を経て2024年1月1日付で施行する考えだ。
同国は消費電力に占める再生可能エネルギーの割合を30年までに22年の44%から80%へと引き上げることを目指している。暖房と自動車の電動化が進み電力需要が大幅に増えるなかでこれを実現することは容易でないことから、政府はベランダや屋上、農地などソーラーパネルの設置に適した場所をフルに活用する方針。
自宅のベランダにソーラーパネルを設置することは現在も可能だが、手続きなどが面倒なため普及していない。法案が施行されると、連邦ネットワーク庁の専用サイトに簡単なデータを入力して登録すれば設置できるようになり、送電業事業者に事前の届け出を行う義務はなくなる。デジタルメーターの設置義務も当面、免除される。出力の許容上限は現在の600ワットから2,000ワットへと大幅に引き上げられる。
マンションなどの集合住宅にソーラーパネルを設置し、入居者に供給する「入居者電力(ミーターシュトローム)」と呼ばれるケースについても簡単にサービスを提供できるようにする。一定の基準に従って入居者に電力を供給することで料金精算などの煩雑な手続きを簡素化。外部の専門事業者に業務を委託することなくミーターシュトローム業務を行えるようにする。
ミーターシュトロームには助成金が交付される。法案が施行されると、同助成は商工業施設や付属する駐車場などにも適用されるようになる。
経済省によると、太陽光発電の国内新設能力は昨年7.3ギガワット(GW)だった。今年は7月までの時点でこれを突破したという。政府は今回の法案の効果で、26年以降は年22GWに拡大すると見込んでいる。