ドイツ政府は16日の閣議で、地域熱網の整備計画策定を市などの基礎自治体に義務付ける法案を了承した。天然ガスなどの化石燃料を主要熱源とする暖房の新設を原則的に禁止する建築物エネルギー法(GEG)改正案を補完するもので、基礎自治体は遅くとも2028年半ばまでに整備計画の策定を完了しなければならない。地域熱の供給を受けられるかどうかを各住宅所有者などが知り、どのタイプの暖房がコスト面で優れているかを判断できるようにする狙いがある。
ドイツは欧州連合(EU)よりも5年早い2045年までに炭素中立を実現する目標を掲げている。このため、住宅で使用するエネルギーは同年までにすべて再生可能エネルギーへと一本化する方針。GEG改正案には再生エネの使用比率が65%未満の暖房の新設を24年1月1日以降、原則的に禁止することが盛り込まれている。
地域熱はヒートポンプ暖房とならび、暖房脱炭素化の柱となると想定されている。ただ、地域熱は居住地域に熱供給網がなければ使用できないことから、政府は地域熱網の整備計画を基礎自治体に策定させ、住宅所有者が暖房選択の適切な判断を下せるようにする考えだ。人口10万人以上の大都市では26年6月末、10万人未満の都市・村では28年6月末までの策定が義務付けられる。策定支援に国は総額5億ユーロの支援を行う。
国内の世帯で地域熱を利用するのは現在14%にとどまる。地域熱のエネルギー源に占める再生エネの割合も20%に過ぎない。政府は同割合を段階的に引き上げていき、45年までに100%を実現する目標だ。24年1月1日以降に新設する地域熱については65%以上を義務付ける。
政府は地域熱網整備計画策定法案とGEG改正案を、議会での可決を経て24年1月1日付で施行することを目指している。