ドイツ連邦統計局が30日発表した7月の輸入物価指数(2015年=100)は前年同月比13.2%減の124.1となり、1987年1月以来の大幅下落を記録した。同物価の低下は5カ月連続。比較対象の22年7月はロシアのウクライナ進攻開始(2月24日)の影響で輸入価格が高騰していた。今年7月はそのベース効果で指数が下落した。物価高騰の最大の原因となっていたエネルギー価格がこれまでに引き続き特に大きく低下している。
エネルギーは前年同月を47.4%割り込んだ。下落幅は電力で75.4%、石炭で63.7%、天然ガスで58.7%、原油で33.0%、石油製品で31.4%に達した。エネルギーを除いたベースでは輸入物価の下げ幅が3.1%にとどまる。
中間財は9.5%減となり、下落幅は前月の8.8%から拡大した。低下は5カ月連続。下げ幅は肥料・窒素化合物で53.6%、アルミニウム・アルミ合金で27.0%、バージンプラスチックで23.0%、銑鉄・鉄鋼・鉄合金で20.3%と特に大きい。スターチ・スターチ製品(+42.4%)、中空ガラス(+21.3%)はこれまでに引き続き大幅上昇した。
非耐久消費財は1.4%上昇したものの、上げ幅は前月(2.7%)を下回った。上昇率は食料品で3.9%(前月6.1%)を記録。果物・野菜製品は8.8%(同11.0%)、食肉・肉製品は5.6%(5.9%)、豚肉は34.9%(34.5%)だった。
耐久消費財は0.1%(2.5%)。
投資財は2.9%で、前月を1.1ポイント下回った。構成比重の高い自動車・自動車部品は4.9%(5.6%)、機械は3.6%(4.9%)となっている。
農産物は0.4%減となり、4カ月連続で下がった。天然ゴム(-27.9%)、コーヒー生豆(-24.1%)、穀物(-19.6%)はこれまでに引き続き下げ幅が2ケタ台に上った。豚は77.8%、カカオ豆は31.3%上昇した。
輸入物価指数は前月比では0.6%減となり、11カ月連続で下落した。ピーク時の昨年8月(149.1)に比べると16.8%低い水準だ。中間財は前月比で1.6%、農作物は1.5%、投資財は0.1%、耐久消費財は0.6%、非耐久消費財は0.4%の幅で低下した。エネルギーは原油と石油製品が値上がりしたことから1.4%上昇している。
輸出物価指数は前年同月比3.2%減の122.0となり、2カ月連続で下した。エネルギーが54.7%下落。農産物(-6.0%)と中間財(-4.1%)も低下した。投資財は4.2%、消費財は2.8%上昇した。
輸出物価は前月比でも0.3%下がり、7カ月連続で低下した。過去最高となった昨年8月(128.7)に比べると5.2%低い。