ポーランド中銀が40カ月ぶり利下げ、政策金利6%に

ポーランド中央銀行(NBP)は6日、主要政策金利である7日物レファレンス金利を
0.75ポイント引き下げ、6%に設定した。利下げは2020年5月以来、40カ月ぶり。市
場は0.25ポイントの下げ幅を予想していた。インフレの鈍化が進む中、国内経済の
テコ入れを図るため大幅な利下げに踏み切った。
中銀は21年10月から22年9月にかけて11会合連続で利上げを実施したのち、前回会
合まで金利を6.75%で据え置いていた。今回、ロンバート金利は6.5%に、公定歩
合(再割引率)は6.05%に、預金金利は5.5%にそれぞれ引き下げた。
同国のインフレ率は8月に10.1%となり、前月から0.7ポイント縮小した。インフレ
率の低下は6カ月連続。食品価格の低下と、サプライチェーンの混乱緩和に伴う供
給不足の解消が大きい。今後について中銀は、外部要因と国内の経済活動鈍化の作
用で数四半期に渡り下がり続けるとみる。
中銀は声明で、インフレは予想を上回るペースで鈍化しており、価格上昇圧力も弱
まっていると指摘。通貨ズロチの為替レートの上昇がインフレ率の低下を早めると
したうえで、ズロチ相場の変動を抑えるため市場に介入するとしたこれまでの方針
を繰り返した。

■利下げは時期尚早、政治的な背景も一因=アナリストら

中銀のグラピンスキー総裁は以前、インフレ率が1桁台まで下がった場合には9月に
利下げを行うと示唆していた。インフレ率が2ケタ台にとどまる中での今回の大幅
利下げに対し、市場からは不適切だとの声が出ている。サンタンデールバンク・ポ
ルスカのエコノミスト、ピョートル・ビエルスキ氏は、「インフレは依然高率で鈍
化の見通しも遠い。利下げは時期尚早だ」とコメント。JPモルガンも声明で、現時
点での利下げ自体が問題だが、下げ幅についてはさらに議論の余地があると厳しい
見方を示した。
英カーディフ大学の経済学者、ウォイチェフ・パクゾス氏は、10月15日に予定され
ている議会選挙の影響を指摘する。同氏は利下げについて「100%政治的な決定
だ。経済論理に基づく決定ではない」と断言。過度の利下げが引き起こす通貨安に
よりインフレ率が再上昇するリスクと、「それゆえ選挙後に再び利上げが行われる
リスク」があると述べた。グラピンスキー総裁は与党「法と正義(PiS)」のカチ
ンスキー党首と近い関係にあることで知られる。

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