企業向けソフト大手の独SAPは7日、業務とシステムの設計図であるエンタープライズ・アーキテクチャー(EA)分野のスタートアップ企業、リーンIX(LeanIX)を買収することで合意したと発表した。BX(ビジネストランスフォーメーション)分野のポートフォリオを拡充し、顧客企業が事業環境の変化に適切に対応し事業プロセスを恒常的に改善できるようにする狙い。買収金額など取引の詳細は明らかにしていない。『ハンデルスブラット』紙によると、リーンIXを約12億ユーロと評価して取引を行う。10-12月期の買収手続き完了を見込んでいる。
リーンIXはボンに本社を置く2012年設立の企業。クラウドベースで同社が提供するソフトウエアを利用すると、企業は使用する全ソフトをビジュアル化して把握できるようになる。これにより、時代に合わないソフトを特定したり、ITアーキテクチャーの新たなロードマップを作成することが可能になる。先ごろ市場投入したAIアシスタントを用いると、これらの作業の自動度が高まる。共同創業者のアンドレ・クリスト社長は独メディアのインタビューで自社のサービスを「企業IT向けのグーグルマップ」と表現している。
世界に1,000社以上の顧客を持つ。顧客リストにはアディダス、バイヤスドルフ、ドロップボックスなどの有名企業が名を連ねる。SAPとは10年前から協業関係にある。従業員数は約600人。21年の売上高は3,740万ユーロで、最終損益は1,850万ユーロの赤字だった。