医薬品包装材のショット・ファーマがIPO

特殊ガラス大手の独ショットは6日、医療用包装材を製造する完全子会社ショット・ファーマの新規株式公開(IPO)方針を発表した。公開益で自社の事業を強化するとともに、生産の脱炭素化を進める。

発行済み株式をフランクフルト証券取引所のプライム・スタンダードで年内に売り出す。売り出しの規模は明らかにしていない。メディア報道によると、ショットはIPO後も過半数株を保持する意向という。

ショット・ファーマは公開企業となることで、市場資金を調達しやすくなる。経営の柔軟性が高まるというメリットもある。

医薬品包装材市場は急成長している。成長をけん引するのは、新型コロナウイルスワクチンで実用化された伝令RNA(mRNA)ベースの医薬品。同薬は近い将来、がんなど他の疾患の治療薬としても投入が見込まれるため、mRNA薬用包装材市場の先行きは明るい。mRNA薬は超低温で冷凍保管され、使用時に解凍されることから、包装材には温度変化に伴う結露に対応できるなど高い品質が求められる。

ショット・ファーマは14カ国に計16工場を持つ。従業員数は4,700人。2022年9月通期の売上高は前期比27%増の8億2,100万ユーロ、営業利益(EBITDA)は33%増の2億1,900万ユーロで、売上高営業利益率は1.4ポイント増の26.7%に上昇した。中期的には売上成長率で年10%超、売上高営業利益率で30%台前半を目指している。

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