シェルがソーラー発電の独子会社を売却か

エネルギー大手の英シェルがソーラー発電分野の独子会社ゾンネンを売却するもようだ。経済紙『ハンデルスブラット(HB)』などが報じた。シェルは経営資源を付加価値の高い分野に絞り込む戦略の一環として欧州の個人顧客事業の売却方針を6月に打ち出しており、これに絡んだ措置と推測されている。同社は報道内容へのコメントを控えている。

ゾンネンは2010年設立の新興企業。蓄電池を製造・販売するほか、独自開発のソフトウエアを用いて◇太陽光発電システムと蓄電池をともに持つ世帯をネットワーク化する◇過剰な電力を持つ世帯から電力が不足する世帯に電力を融通する――「ゾンネンコミュニティ」という名のネットワークを運営している。

シェルは19年、再生可能エネルギー電力事業の強化方針に基づきゾンネンを約5億ユーロで買収した。ゾンネンはシェル子会社となることで事業のグローバル化を推進。英国、イタリア、スペイン、米国、オーストラリアなどへの進出を果たした。米豪には工場も持つ。売上高も急増しており、20年の1億3,300万ユーロから22年には3億5,000万ユーロに拡大。今年は4億5,000万ユーロに達する見通しだ。市場の急成長を背景に今後も拡大が続くと予想されている。

ただ、最終利益はこれまで一度も確保していない。1月に就任したシェルのワエル・サワン最高経営責任者(CEO)は収益力の強化に向け事業を選別する方針を示していることから、ゾンネンを売りに出すもようだ。HB紙によると、ゾンネンの全株式ないし51%を手放す考えという。ゾンネンの評価額は13億5,000万~18億ユーロと推測されている。

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