ハンブルク港運営会社HHLAは13日、世界最大の海運会社であるスイスのMSCが同社のA株を対象に株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。HHLAの過半数株を持つハンブルク州とMSCが同日締結した取り決めに基づくもので、MSCはA株をすべて取得すると出資比率が49.9%に達し、HHLAは同社とハンブルク州の合弁会社となる。ハンブルクを母港とする地元海運大手ハパックロイドはメディアの問い合わせに、「驚いている。現在は状況を分析しているところだ」と回答した。ハパックロイドの筆頭株主は同社に対抗TOBを速やかに実施するよう呼びかけている。
HHLAの資本は公開株であるA株と非公開株のS株で構成されている。S株はハンブルク州が100%保有するのに対し、A株は同州の出資比率が約69%で、残りは機関投資家が約21%、個人投資家が約10%を保有している。
MSCはA株を現金16.75ユーロで買い取る意向。すべての株主がTOBに応じると取得価格は12億1,463万ユーロとなる。
ハパックロイドはハンブルク港最大のブルヒャルト・コンテナ埠頭を利用している。海運世界5位で、MSCとは競合関係にある。同社関係者は「わが社は最大の競合企業にターミナル使用料を支払うことになる」と不満を示した。
ハパックロイド株30%を持つ筆頭株主のクラウスミヒャエル・キューネ氏(物流大手キューネ・アンド・ナーゲルのオーナー)は、HHLAのA株はハパックロイドのような地元企業が取得するのが好ましいとして、HHLAに対抗TOBを促した。HHLAが座視する場合はキューネ・アンド・ナーゲルを通して自らが対抗措置を検討するとしている。