輸入物価の下げ幅16.4%に拡大、1986年以来の大幅下落に

ドイツ連邦統計局が29日に発表した8月の輸入物価指数(2015年=100)は前年同月比16.4%減の124.6となり、1986年11月以来の大幅下落を記録した。同物価の低下は6カ月連続。比較対象の22年8月はロシアのウクライナ進攻(2月24日開始)の影響で輸入価格が高騰していた。今年8月はそのベース効果で指数が下落した。物価高騰の最大の原因となっていたエネルギー価格がこれまでに引き続き特に大きく低下している。

エネルギーは前年同月を54.0%割り込んだ。下落幅は電力で79.7%、天然ガスで73.4%、石炭で61.4%、原油で23.0%、石油製品で19.3%に達した。エネルギーを除いたベースでは輸入物価の下げ幅が3.4%にとどまった。

中間財は9.7%減となり、下落幅は前月の9.5%からやや拡大した。低下は6カ月連続。下げ幅は肥料・窒素化合物で53.7%、アルミニウム・アルミ合金で28.0%、バージンプラスチックで21.5%、銑鉄・鉄鋼・鉄合金で19.2%と特に大きい。スターチ・スターチ製品(+36.3%)、中空ガラス(+14.3%)はこれまでに引き続き大幅上昇した。

非耐久消費財は0.7%上昇したものの、上げ幅は前月(1.4%)を下回った。上昇率は食料品で2.2%(前月3.9%)を記録。果物・野菜製品は7.1%(同8.8%)、食肉・肉製品は2.5%(5.6%)、豚肉は26.6%(34.9%)だった。

耐久消費財は0.3%低下した。前月までは上昇が続いていた。

投資財は2.5%で、前月を0.4ポイント下回った。構成比重の高い自動車・自動車部品は4.7%(4.9%)、機械は3.1%(3.6%)となっている。

農産物は1.5%減となり、5カ月連続で下がった。コーヒー生豆(-29.2%)、天然ゴム(-20.7%)、穀物(-19.4%)はこれまでに引き続き下げ幅が2ケタ台に上った。豚は52.6%、カカオ豆は42.6%上昇した。

輸入物価指数は前月比では0.4%増となり、12カ月ぶりに上昇した。ピーク時の昨年8月(149.1)に比べると16.4%低い。

エネルギーは天然ガスを除いてすべて上昇したことから、前月を4.4%上回った。耐久消費財(+0.3%)と非耐久消費財(+0.1%)も上昇している。投資財は横ばい、中間財は0.7%減、農産物は1.5%減だった。

輸出物価指数は前年同月比5.1%減の122.1となり、統計を開始した1962年以降で最大の下げ幅を記録した。低下は3カ月連続。エネルギーが59.7%減と特に大きく下落した。農産物(-8.5%)と中間財(-4.8%)も低下している。投資財は3.5%、消費財は2.1%上昇した。

輸出物価は前月比では0.1%上がり、8カ月ぶりに上昇した。過去最高となった昨年8月(128.7)に比べると5.1%低い。

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